花沢蒼 『蒼井健人を想う』






学校から帰ると最近お馴染みの背中。
おばか親父の書斎で四角い画面に食い入るように見つめ、時折へらっとしたかと思うと眉間に皴を寄せたりしてるつくし。




一体、なにやってんのさ・・・
寂しいじゃん・・・いつも玄関で出迎えてくれてたのにさっ!
それに、一緒にティータイムするのは決まりでしょ。ここ何日間か全然してないじゃん。



「つくしーーー、ただいま。お茶にしない?俺、少し小腹すいたんだけど」




お腹すいたなんてウソ・・・全然、食べたいなんて思ってもないけどこういえば反応してくれるはず。




しかし、聞こえてないなのかなにも答えないつくし。






「ねえっ、つくしってばっ!聞いてる?」




無視、無視?





「花沢つくし!腹減ったって言ってるでしょ!お茶を一緒にしようって言ってるでしょ!」


「あっ、お帰り〜。あたしの蒼い騎士」




やっと反応を示したかと思えば、蒼い騎士ってなんだよ。今まで一度も俺のことそんな風に呼んだことないじゃん。
花沢のおばあ様限定でしょ・・・それは・・・
まあ、たまにおばか親父が皮肉を含んで呼ぶときもあるけどさ。
でも、そんなことは置いておいて、一体なにをやってるのか聞き出さなきゃだね。




「最近よく書斎にいるみたいだけど、どうしたの?」


「ふふっ・・・蒼い瞳の騎士に会ってたの」






げっ、花沢のおばあ様一押しの小説のイケメンキャラかよ。
俺の名前が「蒼」になった原因。
で、なんでつくしが嵌ってるの?









「会うってなに?」


「うーん・・・蒼も知ってるでしょ?ほら、お義母さまが大好きなネットノベル。それを読んでるの。
でもね、読むっていうより会いに行くって言ったほうがいいぐらい素敵なの!
もうねえ、かっこいいのよっ!不器用で一途で、それでいてクールなのに熱い想いを持ってる彼に堕ちたわ。
うふふっ・・・健人っ。蒼い瞳の騎士万歳よ」





語尾に何個もハートマークがついてませんか?
それに、堕ちたって・・・キャラ変わってませんか?





目の前に蒼い騎士がいるから十分でしょっ!!




なんか、むかつく・・・
すごいイライラする・・・





―――ぶちんっ!


俺はコードを引っ張ると無理やりPCの電源を落とした。
強制終了完了。






「蒼――――っ!何するのよっ。PC壊れたらどうするの?蒼い瞳の騎士のいいところだったんだよ?」





瞳に涙を溜め抗議するつくしに半分悪いと思いながらもどうしようも出来ないほどイライラが募ってしまった。






「無視するつくしが悪い・・・」


「酷いよ、蒼なんて大嫌い!」








ダイキライ・・・ダイキライ・・・大嫌い!?
俺が放心した隙にその場から逃げたつくし・・・






傷つけた?傷ついた?






頭がごちゃごちゃ・・・





ねえ・・・つくし・・・俺を見て・・・





そんなに蒼い瞳の騎士が好き?






一体どんなヤツなんだよ・・・
すごい気になる存在。
おばあさまを虜にし、今また最愛の人まで・・・





しょうもねえやつだったら許さないから。



蒼い瞳の騎士、待ってろよ!どんな男か確かめてやる。



早速、電源を入れ直しPCを立ち上げるとインターネットの履歴を調べた。
つくしはそこにしか訪れたことがないようであっさりと見つかる。





えっと・・・どれだ?これか?




サイトのTOPが表示されるが、初めてのネットノベルを体験する俺にはどれがなんだか分からない。
とりあえず『はじめに』と書かれたものをクリックする。
そこにはサイトの傾向、注意事項などが書かれていた。




サイトマップのなかに小説と書かれたものを見つける。
なるほど、このコンテンツに行けばいいわけだ。




トップページへもどり小説と書かれた上をクリック、履歴でみた「Sacred Blood」を選ぶ。





ふーん・・・学園物のファンタジー小説か・・・




登場人物紹介?よし、まずこれから


ブラウンの髪・・・それも光の加減で金色?ああ・・・どこぞのおばか親父と一緒。
片目だけ蒼い瞳・・・ふーん、乙女心そそりそうだな。







よし大体は外見のイメージは掴んだ。あとは中身でしょ?





一章から順にスタート。




読み始めると文章から目を離すことができない。
なかなか面白い展開に当初の目的を忘れ彼らの活躍を楽しんでいる。
画面をスクロールしながら次ページへとクリックの繰り返し。





正と邪の戦い・・・すれ違う心・・・見えぬ未来
そして、なんと言っても姫を囲んでの会話が面白い。






おっと・・・蒼井健人チェックしなきゃだな。







なんだ・・・こいつ、やけに我慢してない?
もっともっと、姫に気持ちを伝えてもいんじゃない?





違うだろ!そこでぐっといかなきゃだろ!!
なんて不器用なヤツ・・・
姫も鈍すぎでしょ・・・これだけボーイズ達が意思表示してるのにさ・・・
どっかの誰かさんみたいじゃん、鈍感って罪だよな・・・まじで






自分と蒼い瞳の騎士が重なる。
伝えようとしても伝えきれない想い、そして邪魔者達。




多難だな・・・健人・・・



姫を守る騎士のよしみで許してやるよ!つくしがカッコイイって言ったこと。



なあ、がんばれよ。俺もがんばるからさ!



花沢蒼 男 13歳 「SB」蒼井健人の応援団を結成する。



 



このお話は、桃さんからいただきました!!
桃さんは「花より男子」の二次創作を書いていらして、投稿サイトさんに作品を投稿されているのですが。
桃さんのオリキャラで、類とつくしの息子「蒼くん」。
なんとその蒼くんの名前の由来が、うちの健人だというじゃありませんか!(嬉)
類のお母様が健人を気に入って、類の息子に「蒼」と名付けたと。
うちの健人なんかで本当にいいんだろうかとペコペコ恐縮しつつも、すごく光栄でv
しかも私の蒼きゅん(おい)が「SB」を読んでくれて、健人を応援してくれるなんて!!
蒼くんや桃さんに応援してもらってるなんて、健人もっと頑張れよと(笑)
桃さん、素敵なお話を本当にどうもありがとうございましたv